「トルコ速読協会」

トルコでは、教育後進国のコンプレックスが強く、外国のメソッドをありがたがる傾向がある。

国定教科書の最後のページを見ると、引用した外国の教科書のリストが延々2ページも載っている。

子供があきれ果てて「見てみい、トルコの教科書はコピペばっかりや。いったい、どのページを自分らで書いたんや」

教育省の県支部が、小中学校教員向け夏休み研修のお知らせを学校に送ってきていたが、内容といえば、

「モンテソッリ 速読 そろあん」 となっている。 海外発のメソッドばかり。講師を招いて、研修をやるのだろう。

ところで、速読だが、頭がよくなるメソッドとして、結構知られている。

小1から、一分で何単語、と具体的に目標を決めて、音読させる先生も多い。

アンカラママは、トルコ速読協会?の主張を読んでみる。

hizliokuma.orgより

遅い 160単語以下/分 速い 350~800単語/分  超高速 800から1300単語/分

80から160単語  遅い読者。集中力に問題があると言える。このレベルの読者は、一般的に理解力が低い。
160から220単語 トルコ平均。このレベルの読者は、集中力、理解力ともに、一般的に低い。
220から320単語 トルコ平均よりは上だが、西側先進諸国の平均であるにすぎない。
320から500単語 平均よりは上だが、速読に要する集中力の端緒にすぎない。
500から800単語 トルコ・西側先進諸国の平均の上のレベル。この速度で読む大半の読者は、インターアクティブで、正しい速度で読む傾向にあり、速読のコースを履修したことが伺える。読む速度とともに、理解力も上のレベルである。
800から1300単語 1300単語以上の速度は、物理的な側面から、理論上不可能である。このレベルの読者は、800から1300単語の範囲で読むが、理解を伴わない場合がある。しかし、特殊な教育を受ければ、800以上でも、理解を伴いながら読むことが可能なことが知られている。

*****メガ速読セット****
世界速読の権威、TONY BUZANと 記憶術の世界チャンピョン MELIK DUYAR(トルコ人)が監修したこのセットは、欧米や日本で使われています。  

引用終わり

おや、マインドマップで有名な方ではありませんか・・

ちょっと調べてみた。

WPMについて。(1分あたりの単語数)
WIKI英語版から。2012年の調査では、ラテン・キリル文字使用の17言語の調査の結果、一番遅いのがフィンランドの160前後で、速いのが英語の180前後となっている。これは、文法構造や書記法の違いからくる。ひとつの単語が長いフィンランド語では、WPM
が下がり、ひとつの単語が短い英語では、WPMは上がる。

引用元を見てみる。各国の詳細が載っている。
http://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2166061
表1で、同一内容のテキスト各国版の、単語数一覧。
同じ内容でも、英語に比べ、トルコ語やフィンランド語は、単語数が少ない。
表2では、WPMが載っているが、トルコ語は、フィンランド語と同レベル。

これだけでも、上のサイトの説明が、インチキであることがわかる。
何が「集中力や理解力が低い」だよ。

確信犯か、単なるアホが作ったサイトか・・・

ところで、うちの学校でも、去年5年から8年までの中学生向けに、国語科の先生が速読セミナーやったらしい。

どんぐりワークショップでは、こういうことも先生たちと話し合っている。
みんな、今までなんとなく違和感を持ってたのが、数字のデータを見せると、納得。

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PYP

アンカラママの授業数が合計週25コマ(高校日本語含む)に達した2学期。

何でも、この学校は来期からPYP(国際バカロレアの小学版)を導入するらしく、来月から全教師対象のワークが始まる。数人の先生が選ばれて、PYPの先導役をやっているのだが、「教科間の垣根をとった総合学習」「子供たちが自主的にテーマを深めて調べ、多方面から分析し、発表する」ことにより、理想的な性格に育つらしい。

世界のことをより知ることによって、より寛容で国際的な人間になるとか、

かなり論理の飛躍があるのだが、もう決定したことだし、大金を払って(登録料や全教師の教育費が高い。学校もち)認定校になるらしいから、ふーん、そうですか、という感じなのだが、(参考 www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1308002.htm)

調べ物も、よく例に出される物質とか天気とかお祭りとか、無難なやつでなくて、ポケモンについて調べる、なら子供たちも喜ぶだろうけどね・・
テーマは学年共通だから、つまらん。

今でさえ学校が4時40分終了で、家では大量宿題で疲弊している子供たちが、進んで調べ物をしまくってスバラシイ人格になるとか?まず、大量宿題をなんとかするのが先でしょう。
PYPを導入している欧米の学校とは、環境が違うのですよ。低学年は昼までとか、そんなんですよ。

頃合を計り、理事室で宿題について熱弁する。

「授業でやったことを、家で5問復習して、どこが害なのか」と理事が言うので、「5問で済めばいいんですけどね。実際は50問です」

即座に、3年生が使っている、大量詰め込み問題集も、コピーして渡しておいた。

感味力がなくなってしまうことについて、何とか納得させようと数々の例を出して食い下がるアンカラママ。

同時に、トルコブログにも宿題記事を連続UP。(金森先生の記事も勝手に引用)

こんな環境でも

トルコ南東部では、昨年より内戦状態といっていいほどの治安悪化が続く。(首都アンカラは中央アナトリア。南東部はイラクやシリアと国境を接している)

そんな環境でも、がんばる子供たちがいる。

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彼女は今年度の全国共通一次高校入試で、満点を取り、新聞に出た子。(この記事はどんぐりとは関係ありません)

母校の中学校は、テロの襲撃を受け、放火されて、こんな状態に・・

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http://www.haberturk.com/gundem/haber/1184064-120-sorunun-tamamini-yapti-hakkriden-turkiye-birincisi-oldu

生徒たちは、近隣の別の中学校に、身を寄せて勉強を続けていた。

この女の子のコメント「私を支えてくれた建設労働者の父をはじめ、先生方や家族、友達、皆に感謝しています。良い高校に入って、将来は医者になりたいです」

トルコでは、先生は国家公務員なので、医療関係者、軍、警察など同様、中央からの派遣になる。
現在、南東部に赴任されている先生方は命がけである。
どのルートを通れば安全なのか、情報を交換しながら赴任していく。
中央権力の手先として看做される場合もあり、誘拐などの標的になる危険もある。

幼児・児童英語 

トルコに中流階層が育つにつれ、無理してでも子供を私学に通わせたい、というニーズが生まれ、規制がゆるいのをいいことに、その辺のビルを改造して私学が出来る流れが止まらない。

公立にはない設備のほかに、学校が売りにするのが、英語教育である。

我が子をバイリンガルにしたい、いや、そこまでいかなくても、将来困らないように準備してあげたい、と思う親心につけこみ、学校の担当者は、いかに英語を重視しているか力説する。

アンカラに以前からある、伝統的な私学では、小学生の英語授業数は、週6時間とか、8時間であった。そこで、新興私学が、既存私学に対し、英語授業数で差をつける戦略をとったのである。

私学が急増しだした3年前は、こんな感じだった
「我が校では、週に10時間英語があります。そのうち、ネイティブ教師の授業は○時間もあります。」
現場の英語の先生は怒っていた。
「英語の時間が多すぎる!子供は退屈するし、こっちもやってられない。毎日1時間づつ、週5時間で十分だ」
その若い先生は、まじめなゆえに、アンカラママに真顔で聞いてくる。
「私がやっていることって、少しでも意義のあることなのかしら。私はこんなに一生懸命やってるけど、子供たちはちっとも覚えないし、すぐに忘れてしまう。双方無駄なことをしているとしか思えない。私はとても苦痛だ」

翌年。
「我が校では、週に12時間英語があります。そのうち、ネイティブ教師の授業は○時間もあります。」
怒っていた先生は、退職してしまった。

翌年にいたっては、
「我が校では、週に16時間英語があります。そのうち、ネイティブ教師の授業は○時間もあります。」
急増した需要に対応できず、ネイティブの先生がいたりいなかったり。
ネイティブの先生は、高等教育で教えたいらしく、子供相手に疲れる小学校勤務は、人気がないそうだ。
この無意味な英語競争に異議を唱える担任の先生もいる。
「語学教育に力を入れすぎると、理数がその分落ちるのは、経験的に分かっていることよ」

たぶん、ヨーロッパやインド、パキスタン、中国などの国なら、これだけ英語をやれば、普通にバイリンガルになれるのだと思う。
しかし、ウラル・アルタイ語系のトルコ語は、語順が日本語に似ているから、語順を軽視して外国語をやろうとすると、非常に効率が悪いのだ。

教科書はオックスフォード出版など外国のものを使っているが、これが薄いくせに教科書とワークでセット5000円とかのボッタクリ価格である。そして、内容は、語順が違う国の生徒が学ぶための配慮というものが、そもそもない。

アンカラママは昨年まで某私学にいたわけだが・・・

保護者会で、各教科の先生方が、スピーチをする。
(アンカラママは、異様に長い英語のあおりを食らって、いつも最後の5分しか残されていないのだった)

そこで、新入生の保護者から、毎年のように、同じ質問が出る。
「うちの子は、中学卒業の時点で、どのくらい英語ができるようになっているのでしょう」
教科責任者が、眉ひとつ動かさずに答える。
「生徒たちは、年間○○時間も英語環境にいることになりますので、かなりのレベルになっています。同世代のネイティブの子達と、普通に意思疎通ができます」
この答えで、質問した保護者は満足する。

使っている教科書を見れば、簡単にわかることなのだ。
トルコの私学で、一般的に中学最終学年に使われる教科書は、欧米共通レベルのA2と言うレベルである。
学校が、習熟度別クラスを持っていても、せいぜいその上のB1である。

アンカラママは、アンカラで知名度のある語学学校に電話して聞いてみた。
「英語コースのプログラムについてお聞きしたいんですが。A2に到達するには、どのくらいの期間が必要ですか」
電話に出た女性はにこやかに答えた。
「通常は半年です。午前コース、午後コース、週末コースがあります。1ヶ月400リラ(約16000円)ですが、学割もあります。」

この話を、(学費が高いから私学に通わせられない。うちの子は英語が不利だ)と嘆く、小学生や、就学前の子供をもつ
お母さんにすると、みんな仰天する。そのあと、笑い出す。

アンカラママ「幼稚園から中学までの英語の授業の時間数と、語学学校の時間数を比較するとね、16対1だわね。だから、中学最終学年に入る前、語学学校の夏休みコースに3ヶ月行ったら、全部解決する話。(公立でも少しは英語の授業はあるので、初歩の初歩ではない)それまでお金ためてて」

*****************

小1の教室。アンカラママはどんぐり作品の壁貼りにお邪魔していたのだが・・

齢70を超えたと思われる、アメリカ人の爺さんが、英語を話しているが、

「ジム~、だけど、あたしたち、あなたが何言ってるのか、わからないんだけど」
小1女子は、自分たちがわからないのに、授業を進めようとする教師に驚いて、もしかして、この人は、この事実を知らないのかもしれない、と心配しているのだ。

ジム爺さんは、長年トルコに住んでいるので、もちろんトルコ語は知っているのだが、学校側からトルコ語をしゃべるのを禁止されているため、授業で使えないのである。

クラスに1人いる、帰国子女の子が仕方なく通訳する。
「ジムは、テキストを見ろって言ってるよ」

ジムは、やれやれ、といった感じで、授業を続ける。
そこで、さきほどの女子が、また、
「だから、ジム、あたしたち、あなたの言うことがわからないんだってば」

今思い出しても、なんとも言えない気持ちになる。この子達は、幼稚部時代から、どんぐりの授業を受けてきたから、「わかるとは何か」をはっきり意識できる故に、わからないのに、強引に、適当に進められる授業が不快なのだ。

ジム爺さんは、長年トルコ空軍専属の英語教師をしていた人で、ジェスチャーしたり、お絵描きをして教える、という発想は出来ないらしかった。

ギフテッド狂想曲

トルコの主要都市にある、ギフテッド(と認定された子)公共教育機関、BILSEM。

今まで、一般にはほとんど知られていなかった(先生でも知らなかった人多し)のが、今年は定員を大幅に増やし、新聞で取り上げられたこともあり、(わが子は天才!)と密かに思っている多くの保護者の心をかき乱すことになった。

苦々しいのは担任の先生方である。

アンカラママが以前勤めていた私学での話。

「今日○○の保護者から電話かかってきて、BILSEMの候補者リストに入れてくれって。あなた、○○がギフテッドだと思う?」

「あなたの意見を聞いてみたいわ。うちのクラスにギフテッド、いると思う?」

アンカラママは言葉を濁す。

この私学の子たちは、毎日家に帰るのが6時なのに、さらに週2日、夜に2時間ずつ、授業を受けても余裕のある子は、ほとんどいない。

しかも、この地域から車で片道30分くらいかかる。

しかも、何をやっているのか定かでない。理科の実験とか工作などさせている大都市ならともかく、中規模都市では、先生の質が揃わず、結局問題集を解かせる、みたいな授業をやって、不満でやめていく子供も多いと聞く。

しかし、なんとかしてBILSEMに行かせたい、いや、もしかして、うちの子にも隠れた才能があるかもしれない、一か八かでテストを受けさせたい、と思う親たちがすっかり熱くなってしまった。

「もうね、うちはクラス全員候補者にしたわよ。事前にレポートを出すんだけどね、適当にチェックをいれておいたわ。そうしないと、親同士が収まりがつかないのよ」

さて、思いがけずBILSEMの候補者に選ばれた、と先生に知らされた母親は大変である。

商機と見た出版社が、低学年用の知能開発の問題集を売り出したのに、飛びついて、家でわが子に特訓を始めた。

そこで、問題集のあまりの難しさに、愕然とする。

わが子に教えるどころか、自分もわからない問題ばっか・・・

BILSEMが求めているのは、サバン的な能力を持つ子と思われるのだが、この勘違いは、先進国でもあるというから、一概にトルコの状況を笑えないだろう。アメリカでも、ギフテッドが通う学校の入試で、少なからず過去問題を特訓した子供が、選ばれることもあるらしい。

それにしても、3年生以降はテストが有料というのがうさんくさい。

日本では考えられないことだが、候補者の選抜をし、皆が準備しているというのに、いまだに肝心の試験日が発表されない。

保護者の教育がテーマのフォーラムでは、どうなっているのだ、といらいらした投稿が続いている。


学習メディア

教室で、小4の理科の授業を見学していた。テーマは「力のはたらき」。

途中で映像を使った授業になり、その早口の映像をみていた。

男の子と女の子のキャラが二人、紐をつけた物体を引いたり押したりしているのだが、

大きな顔の、大きな目が、3秒に1回くらい、バチバチ瞬きをするので、視線が自動的にそちらに行ってしまう。

肝心の物体を注視しようとしているのに、気を緩めると、焦点がずれてしまうのだ。

なんという馬鹿馬鹿しい作りだろう。

頭に残るのは、あの大きな瞬きをしていたキャラだけである。

あれがなければ、先生だって、ボードに絵のひとつも描いただろうに、

今ではビジュアルは全てパソコン映像におまかせ。


公立ギフテッド教育

アンカラには、公立のギフテッド教育が受けられるサービスがある。

そこは、IQ130以上の子供が、学校で落ちたり浮いたりしてこぼれてしまうのを防ぎ、国家に有用な?人材を育成するために、補助教育をタダでやってくれるところらしい。私学の先生でも知らない人も多い、知る人ぞ知る場所である。

何をやってるんか、というと、理科の実験したり、工作したり、芸術活動をしたりしているらしい。日本だったら、普通の公立小学校で、誰でもやっていることなのだが、トルコの小学校では、こういう授業が不足しているから。

ここは中学まで継続できるらしいが、ここの修了生は大学卒業後は無試験で、理系あこがれの職場の、トルコ航空機製作所に就職できるらしい。ま、いろいろ有利なことがあるんだろう。

毎年40人ほどの定員に、3000人ほど受験する、狭き門である。普通は、小学校の先生が見込んだ子供を選抜し、受験させる。名前は省略してBILSEMという。

教育ママの子育て掲示板では、BILSEMの問題見てみたけど、2年生対象でもめちゃくちゃ難しい、大人でもできない問題がある、どうやってわが子に準備させればいいのか、いや、あれは準備してどうかなる問題じゃない、などかしましい。

アンカラママも2年生対象問題を見てみたが、どんぐりで言えば、1mxから2MXくらい。問題数が多くて、つまんない問題が多い。半分ほど正解できれば、第2次審査の知能テストに進めるらしい。

母と父の現在の年齢の和は72だが、子が生まれたときは52だった。子は現在何歳か。 とか、
一年にある週の数から、一日の時間数を引いた数は、一週間の日の数の何倍か みたいな。

ちなみに、普通の学校のカリキュラムでは、掛け算が出てくるのが4月以降だから、学校で掛け算をやる前に、この試験を受けることになる。

形式は4択だが、算数担当の先生は、いったい子供の何を見るのか。3000人もいたら仕方ないのかもしれないが。

さて、アンカラママがどんぐりを寺子屋指導している子で、去年4年生のときに、学校から10人ほど受けに行ったらしいが、どんぐりっ子だけが受かってしまった。アンカラママは試験対策はしていない。

この子はどんぐりは小1で始めたが、最初の2年は、アンカラママが日本にいたので、指導を受けられず、お母さんに問題を貼ってもらったのを、自分でやっていた。

式と答えだけの作品である。わからないところは父親に教えてもらい、1MXまで行った。

そこから、アンカラママの指導を受けることになった。今3年目。

この子は10歳で5MXをやっているのだから、高い学力は持っているが、頭の中で処理しようとする傾向が強い。この子のこういう点は最初からわかっていたので、2年かけて修正を試みた。テストの点が少し落ちるだけで、騒ぐ親御さんから、脳の発達状況を説明し、余計なプレッシャーから守ろうとした。大分落ち着いて絵も描くようになっていたが、週2回通っているギフテッド教育やら、習い事、学校はタブレット教育、宿題のせいで、いっぱいいっぱいで、疲れているときも多い。

ギフテッド教育では、ときどき、上の学年の算数問題を、自力で解かせたりもするらしい。算数に関しては、先取り教育はやってないようだが、ひらめきセンスを伸ばすのに、プラスになってないのが分かる。

忙しいと、できなかった問題を考え続けるひまもなく、ひらめきはなかなか来ない。

本人は、学校の授業はつまらないけど、ここの授業は楽しい、と満足している様子。

うちの子らは、この年頃、近所の悪ガキとつるんでたけどね・・・

タブレット

*補足があります。コメント欄をご覧ください。

大量宿題との戦い方を心得ているアンカラのどんぐり出身中高生。

問題集の答え丸写しも、いかにも本人が解いたように、テクニックを駆使?している。

親たちも、「宿題は全部やるな!調節しろ。どうせ先生はちらっとしか見ないんだから」と檄をとばしている。

アンカラママもたまに手伝うことがあるが、英語の反復宿題なんて、20ページ目あたりから文が意味を成さない、記号の羅列になってくる。

しかし、学習全般にタブレットを採用している私学に進んだ子は悲惨だ。

宿題がタブレットを通して出るので、先生がチェック、採点しなくても、自動的に、

・宿題のウェブページに何時間ログインしていたか
・何点正解、何点不正解か

など、即座にデータが学校に送られるシステムになっている。

これでは、紙の問題集のように、宿題をやっつけることができない。答えもひとつひとつ入れなければならない。

「タブレットは最悪。2時間も見てたら目が痛くなるし」これは、普通の学校に通う子の言葉。

タブレット校に通う子は、タブレット中毒になる。親御さんが迎えに行くと、子供たちがあちらこちらで座り込んで、タブレットを無言で触っている。家に帰ると、即座にタブレットを触りだす。フィルターはかかっているが、ネットにつながるので、ゲームをすることが可能なのである。

この学校は、アンカラママが勤めている学校と同じ区域内にあるのだが、毎年うちの学校に転校してくる子がいる。

親御さんと話すと、たいてい、タブレットがいやで、と言っている。

そして、先生方の間では、「あの学校から来たのなら、トルコ語がまともに書けない」が共通理解になっている。

アンカラママがどんぐりを教えている小5の子のタブレット。学校で、机から落としたらしく、液晶画面が、放射状に割れ、シュールである。机から落としたのは、クラスの子らしいのだが、相手の子は認めていない。

修理代に2万円ほどかかるらしく、親はそのまま使わせている。自分の子が壊したわけでないのに、なぜ修理代を払わなければならないのか。学校ともめている。

それにしても、良くその画面を子供に触らせられるなあ、と呆れる。

この子は、アンカラママが3年かけて育てていて、もうすぐ5MXが終わる。

特待生で、その私学に行っているのだが、アンカラママが親ならタダでも行かせなかっただろう。

親御さんは、家に帰ると、タブレットをとりあげて、宿題以外は触らせないようにしている。

自分の子にだけ、紙の宿題を出してくれ、と学校に交渉に行ったが、認められなかったらしい。

競争の果てに

以下はトルコのある私立高校の、SBS全国実力テストの結果により、受けられる学費免除の割合の広告である。

ある私学のSBS成績優秀者の学費減免率

大体お分かりになると思うが、合計点により、細かく割引率が設定されている。
大学入学実績を上げるために、中堅の私立校間で優秀な生徒の獲得合戦が繰り広げられている。

トルコでは、私学は、政府から援助が来るどころか、学費に間接税をかけられるくらいで、一般の人には手が届かないほど学費が高い。しかし、先進国には及ばないとはいえ、環境は公立とは比べ物にならないほど整っているのだから、子供が成績優秀なら行かせてやりたい、と親が思うのも無理はない。

このような、テスト結果による割引システムは、小4くらいから存在する。そこで、低学年から、子供の尻を叩いて、成績をなんとかあげようとする親が出てくる。

こうなると、子供はニンジンをぶら下げられた馬のように、走り続けさせられることになる。
入学後、成績が下がると、学費減免が取り消されるのは想像に難くないから、親が学費を払えないとなると、即退学であろう。

さて、このような学費減免システムは、大手進学塾にも存在する。

そして、実績を出した成績優秀者は、新聞はおろか、街中の看板広告にまで実名と顔写真が載って、宣伝塔となるわけだ。

普段は海外に住んでいるトルコ人の秀才生徒が、SBSだけ受けにトルコにやってくる。そして、全国何位の成績をとった、と広告に載る。その塾に通った実績もないのに、である。塾側と取引があるとささやかれている。

また、毎月の模試だけ受けていた秀才生徒が、その塾出身として新聞に載り、翌日には本当に通っていた塾の広告に出たので、批判にさらされた。子供たちを利用する大人たちの思惑は、とどまるところを知らない。

昨年まで、SBSで満点を取った生徒は全国で十数人だったので、その生徒を擁する私学や塾は、「うちの生徒が全国トップの成績を取りました」新聞で誇らしげに掲載していた。ところが、教育省が、今年はSBSの難度を下げたため、満点を取った生徒が、全国で1000人を超えてしまった。そこで、「うちの生徒が全国一番です!」という教育機関の広告が、大量に新聞に出ることになり、人々の失笑を買った。

何でこんなに人々がSBSに関心を持つのかというと、親戚づきあいが盛んなお国柄もある。中1~中3まで行われていれば、親戚の誰かがSBSを受けているのだろう。試験が行われた夜や、結果発表の日は、当事者の家に親戚中から電話がかかってくるのだから、親もラクじゃない。大学入試でもそうだ。

2007年度に開始された、中1から中3までの3回のテストの結果によって高校入学の持ち点を決めるシステムであったSBSは、批判を浴び、今年度を持って廃止された。(今年中1だった生徒は中3まで継続)

以前の一発勝負の高校入試では、知識偏重型だったのが、SBSでは思考力重視に変わったのだった。大手塾の看板や問題集の表紙には「SBS対策」の字が躍った。

保護者は危機感を抱き、子供が低学年のうちから塾や補習に行かせる家庭が激増した。経済力のない家庭は嘆き、子供はモチベーションを失った。学力差が大幅に広がり、学校現場は厳しい評価にさらされた。

昨年度まで、SBSの結果(県別結果と順位および成績優秀者)をHPに掲載していた教育省は、今年は「SBSは習熟度を見るためのものであり、ランク付けはそぐわない」と掲載を見送った。

中3の一度だけのテストで、高校入学の資格を決めるのは不適当、との名分で始められたシステムだったが、PISAの結果に肝を煮やした教育省が、学力が足りない子供たちを、早期から勉強に駆り立てるのが詰まるところの目的だったのではないか。

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Author:アンカラママ
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