どんぐりっ子、算数オリンピックファイナルに

アンカラママの前の学校で、幼稚部から3年生前半までどんぐりをやったクラスは、今4年生が終わろうとしている。トルコでは、小学部終了、秋からは中学部だ。

生徒の一人、(お母さんは、まだ幼稚園児だった娘を遺して乳がんで亡くなった。アンカラママとも仲が良かった)トルコの算数オリンピック4年生の部で、予選のトップ5%に入り、来週ファイナルに行くとのこと。

アイドン県に新しくできたTALASという数学センターなのだが、サイトの冒頭に「物語のように具象化して解く」と書いてあって、お、これは・・と思ってみてみたら、標榜しているのはシンガポール算数とインド式速算術だった。予選で出題されている問題と、解法のビデオを見たら、60分で小問25題、なんの面白みもない旧態依然とした問題。解法も、見るべきものがない。残念ながら、作問できるスタッフがいないらしい。

彼女のお父さんは、しゃかりきになって子供を鍛える人ではないので、彼女が算数マニアになって勝手に成長したのだろうが、彼女以外の参加者は、対策問題集を買って、パターン対策しただろうと思われる。

担任の先生が言うには、彼女は他人の気持ちも汲める、素晴らしい人格に育っているとのこと。

さて、前の学校のSNSを時々見るが、トルコの私学の生徒が主に参加する全国実力テストに、時々一位になった生徒が載っている。これは事前に対策問題を購入して、クラスで対策をすれば、参加者の順位は上がる。

「私のクラスでは対策しないからね、うちの子たちは一位にはならないわよ。保護者懇談会でも言ってあるの、私のクラスは対策しませんから、期待しないでくださいって。子供たちにも言ってあるの、実力で参加しなさいって。でもね、本当は、一位になれる実力の子が、4、5人もいるのよ。小学校最後の、実力テストでは、ちょっとサプライズがあるかもね、ウフフ」

なんせこのクラス、3年生になる頃には、天気の悪い日は、子供たちが家から持ってきた算数の問題を休み時間にボードに書いて、嬉々としてみんなで解いてたからなあ・・・(むろん、先生がいないとき。遊び)
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一生ものの宝

前校の、幼稚部から小2までどんぐりをしたクラスの先生と、電話でときどき話す。

「4年生になってからも、算数はハイレベルの授業ができるわ。どんなに複雑な問題でも、みんな絵を描けるのだもの。そういう時間が、楽しいのよ。絵を描けることは、たとえようもなく素晴らしいことね。本当に、あなたと過ごした期間は、私にとっても、子供たちにとっても、珠玉のような日々だった。この間に獲得した能力は、一生ものの宝よ。今年は、算数のテストは、全部、答えだけでなく、考えた過程を書いてもらうことにするわ。彼らの能力をより磨くために、正しい方向で評価しなくてはね。」

トルコでは、問題集を含め、テストは大半が4択問題。答えさえあっていればよい、という短絡的な指導が横行している。根拠は、高校入試、大学入試で要求される、問題を解くスピードに対応するため、という理屈である。

心ある先生方は、考える過程を書くことが大切なことはわかっているが、これを子供たちに要求するのは無理だ、と考えている。

どんぐりなら、それが可能なのだ。

この、幸せな先生によると、特別に個人指導が必要な子供は、26人のクラスでたった1人なのだという。

通常、小4は、算数がわからなくなりはじめる学年として知られている。

みんな満点、1年生
・・・から始まり、

雷落ちる、4年生
お客さんだよ、5年生

と続く。お客さんとは、授業に参加しているが、全く理解していない状態を指す。

幸せな先生

ひさしぶりに、前の私学の、どんぐり大好き担任の小3クラスを訪ねた。

5-7歳までどんぐりをした集団だ。 

アンカラママが学校を辞めてからも、先生は絵で描いて解きなさい、と教えていた。

間違えてもいい、やってみなさい、と。

先生「この子たちは怪物よ。先日の業者テストで出た単位換算の問題も、まだ授業でやってないのに、3-4人を除いて、全員が正解してたわ。去年、あなたと一緒に、Mとcmが出てくる問題、やっていたわよねえ。この問題見てよ、こんな大きな数の割り算も、工夫して解いてしまうのよ。順番に引いていってね。もう、私は子供たちが愛しくて、可愛くてたまらない。毎朝、子供たちに会いたくて、学校に飛んでいくのよ。」

ころころ、ごろごろの問題 

昨年度 半ばの、2年クラスの記録。

子供たちは、1メートルは、100センチ、というのは通常授業で習っているので、知識として知っている。さて、1メートルは、これくらい、と両手を広げて確認する。子供たちは、こういう絵図を描くのは初めてである。

線を引き、線の上に1m(100cm)と書くのは、ほとんどができる。まず20cmで割っていく図を描かなければならない。

数人の女の子は、100cmと書いた線に、あらかじめ100個の目盛を打つ。それから、ひとつひとつ数えながら、20cmを記入していく。
男の子は、まず、ものさしを出してきて、20cmを確認する子が多い。そして、これはどうもお絵描き帳に収まりそうにないぞ、と気づく子もいるが、数人はその20cmを計って描いていく。1mと描いた線の後半の場所に、最初の20cmを記入することになる。う~ん仕方ない、1m線を伸ばしてみるか・・・と、線を折り返す子もいる。数人は、最初の20cm記入時で1m線がほぼ終わってしまい、そのまま考えこんでいる。何度も何度も描き直してみる子もいる。

中には、実物大の図にこだわり「紙が足らない」と言ってくる子もいる。その子には、紙を貼って継ぎ足してやる。ある子には合計4枚紙を継ぎ足してやった。

20cmと、10分の、記入がずれていたり、絵図は描けるが、時間の概念が弱く、時間が長い方を、早く到達する、と回答してしまう子もいる。

授業が終わり、廊下に作品群が貼り出される。最初は実物大の20cm、それからどんどん縮小されていく20cmで、無理やりお絵描き帳に収めている作品や、最初からスマートに縮小図を描いた作品もある。悩んだ子供たちは「なんだ、こうやって描いたらいいのか」。掲示ボードに、子供たちの人生初の、100cm図が集合し、それは楽しい。

夏休みの宿題に、コロコロごろごろの問題を入れておいた。 全員がばっちりの縮小図を描いていた。
こうやって、比が意識的に使える準備ができていく。

3年生と4年生の他校の子供が、親御さんと体験どんぐりに来た。頭の健康診断で、同問題を解いてもらうと、図はおろか、手も足もでない。

保護者感想

新年の保護者会は、クラス別で、先生方が授業方針など、話して回るのだが・・・

どんぐり大好き担任の3年A組。

アンカラママが教室に入ると、

先生がどんぐりの説明を、嬉々として始めとるよ~~~

「彼女の授業は私の考えにぴったり一致しているんです。これ見てください。この間の全国実力テストの算数の問題で、できなかった問題は、どんぐり式で、やりなおしてくるように言いました。全員、絵図を描いて解いてきました」

アンカラママがスピーチを始めようとすると、

保護者が「ひとこと言わせてください。この夏、私たち親子はどんぐり宿題に取り組んで、本当に幸せな時間をすごしました。娘が楽しそうに解いているのを見て、本当に、なんというものを娘は得たのだろう、あまりの理解力に、信じられない思いでした。一問、とても難しい問題が入っていて、私たちは、実際に体を動かして、再現してみました。(ラッキーマッキー問題のこと)娘は全問正解し、アンカラママにお褒めのコメントをもらって、天にも昇る心地です。そのうち、娘は、家に来るだれかれに、どんぐり問題を出題し始めました。その反応をみて、私は、娘が得たものが何なのか、はっきりとわかりました」

宿題をやってきたのは、ほとんどが女子なのだが、女子の保護者は「そうだそうだ」とうなずいて、喜色満面である。
やっぱ、夏休みどんぐりは、効果的なのだ。

この保護者は、この気持ちを誰かに言いたくてたまらないらしく、わざわざ学校のオーナーにも言いに行ったらしい。

夏休みどんぐり課題

4ヶ月近かった今年の夏休み。

低学年の担任の先生からは、読書課題だけが出ていた。

アンカラママは2年生にだけ、0MX・1MXから18問、自由課題に出しておいた。

どんぐり大好き先生のA組は、半分近くがやってきた。

新学期や保護者会で、

「どんぐりどっぷりの夏でしたよ!子供が楽しんでやってるとこを見てたら、こちらまで楽しくなって・・・」

新学期に保護者の目がキラキラしてるんだから笑える。

今まで宿題を出すことはなかったから、初めてわが子がどんぐりをしているところを見たのである。

保護者向けの手紙に、考える機会を与えることが目的なので、ヒントはだめ、と書いておいた。

それでも、保護者を巻き込むことは重要なので、授業で触れることのなかった「ラッキーマッキー問題」を入れておいた。

もしかして、親がヒントを出すかもしれないが、あえて一緒に考えてもらう目的。

宿題を提出した12人のうち、全員が取り組んでいたが、正解者が3人いた。

自力でやったかはわからないが、あの絵図が描けたのなら、保護者は絵図の使い方を理解しているので、

どちらにしてもよしとする。

1人だけ勘違いした保護者がいて、子供のどんぐり帳に、xを使った比例式を書きまくっていた。(不正解)



りんごってなあに

りんごってなあに?

たべものだよ。

まあるいの。

そんなおおきくないよ。これくらいだよ。

くき がついてる。はっぱもときどきついてる。

あかいのや、みどりいろの。(赤みがかかった、緑がかかった、と表現する子もいる)

みはね、かたいけど、は がわれるほどじゃないよ。

ちいさいりんごは、かたいのがおおいよ。

あじは、あまい。ちょっとすっぱい。

なかには、たねがはいってる。

むしも、ときどき はいってる。

(幼稚部の授業。言葉からイメージを再現する)


2年生 カード問題

2年生クラスでは、カード問題をやっている。

5分で3枚の巨大カードを作ることができるカード製造機があります。
できたカードは順番に積み重ねます。カードの厚さは10ミリです。
この機械は積み重ねたカードの厚さが15㎝になると自動的に止まってしまいます。
では11時45分から機械を動かし始めると、何時何分に機械は自動的に止まるでしょうか。

途中で投げ出す子は1人もいない。とにかく描けるものは全て描き出し、ページがみるみる埋まっていく。

担任の先生は、目を丸くしているが、当の子供たちは、クラスのほとんどの子が解けてしまうので、それが普通と思っている。

寺子屋の子なら、それぞれの学校で、周囲の子はわかっていないのに、どうやら自分だけがわかっているらしい、という経験をするものなのだが、ここでは学校ぐるみでやっているので、それが当たり前になっている。

そのあと全員分の作品が壁に貼られるのだが、最後まで解けた子供が、解けなかった子供に、達者な口調で説明をしている。

2年生 学年末

学年末が近づいてきた。

2年生。現在掛け算をやっている。割り算は来週からの、最終項目。

〈1MX85> ダンゴム市の人口は、みんなで720人です。
今、男の人の列と、女の人の列に各々1列に並んでもらっています。
列は、女の人が男の人の列よりも20人多いことが分かりました。
では、男の人の列には何人が並んでいるでしょう。

720を100のマルなどで具象化し、目を輝かせて解く2年生たち。
このとき、担任の先生も、教室で子供たちの感動を共有してくださった。ときどきサポートに入ってくださる。

アンカラママ「最高の準備学習なんですよ、割り算も知らないのにね。もうね、桁が4桁になっても、5桁になっても、解いてしまいますよ」
先生「素晴らしいわ!私は年度頭に、日本算数を週2回にしてくれって一生懸命頼んだのよ。それでも週1回しかもらえなかった。それが、いろんな祭日だの行事だのテストだのでつぶれて、4回もなくなったのが残念よ。(実際は7回なくなったのだが、アンカラママが別の日に3回余分に入った)これが、あと4回してたら、子供たちはもっと進化してたに違いない・・残りの日、できるだけ私のクラスに入ってね!この間、保護者会で、壁に貼られた問題を見て、保護者がびっくりしてたわよ、なんて難しい問題やってるんだって。」

この先生は、なぜこんなにどんぐりが好きなのか。

この先生の娘さんは、今は美術の先生をされているが、子供のころ、数学がきらいで、できなくて、泣いて宿題をいやがったそうだ。他の科目は悪くないのに、数学だけがこうだった。

先生は仕方なく、娘さんの宿題を代行した。それで、「わかった」のだ。
だから、この先生の宿題は他の先生に比べたらずっと少ない。

このクラスは、先週からやっと掛け算に入ったところだ。たぶん、トルコの全学校で、一番ゆっくり進んでいるに違いない。
しかし、子供たちの掛け算の理解が早く、あっという間に終わりそうだ、と言っていた。

このクラスだからこそ、どんぐりでできる指導がある。
視算を使えるようにすること・・・

もうひとつの2年生のクラス。

「私はあなたの授業には行かないわよ、私にもやることがあるんだし。だいたい、番人みたいに待ってるのも意味ないし。私なしでも、子供たちは慣れるべきよ」

どんぐりを「意義あるもの」とは認めてくださるものの、このせりふ。

「私の生徒たちは、何の問題もないわ。とてもよくできるわよ」

できるのは、2年生の教科書の内容。それは、4年後の、数学の基礎として、耐えうる基礎なのか。
このクラスは、3ヶ月前から掛け算に入り、割り算も終わらせてしまった。学年で一番進度が速い。
結果、子供たちがどんぐりでどうなるか、最初は絵を描いていたが、しだいに描かなくなって、掛け算割り算のテクで解こうとする。そして、計算ができないと、そこで止まってしまう。

先生がサポートに入ってくれないので、どんぐりの授業自体も騒がしい。

この先生の息子さんは、数学が得意で、苦労したことがなかったそうだ。

前述のクラスと後述のクラスとは、思考力で半年分の差ができてしまっている。

そのものずばり、「あなたのクラスは・・」とはいえない。それは、先生の技術を侮辱することになるからだ。

掛け算と割り算は同じ

担任の先生の授業で、掛け算が始まった小2の女子たちが、

クラスの後ろのボードに貼ってある三角視算表を指差しながら、

「掛け算と割り算って、おんなじことね。」と、言って来る。

掛け算に使うイメージも、割り算に使うイメージも、同じだ、と言いたいのだ。

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プロフィール

アンカラママ

Author:アンカラママ
トルコ エスキシェヒル在住

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