7x7は何ですか?

どんぐりっ子ばかりの学校から、どんぐり初心者ばかりの学校に移ると、あらためて「えっうそでしょ!」と衝撃を受ける毎日。

今日の、3年生の授業。三角視算表を初めて使ってみた。とりあえず、スタンダードの、上が空いているものを埋めてもらう。

女子が1人、7x7 がわからないというので、紙の裏に、7個のマルを7セット描いてやって、数えてごらん、と言ってみた。

その子は、ポカーンとしたまま、動かない。

ああ、そうだった。この子は、掛け算の意味を知らないんだ。

でも、これは、前校なら、考えられない事態である。そんな子は、転校生を除いては、確かに1人もいなかったのだ。

掛け算の答えがわからなければ、○を描いて、数えれば済んだから、誰もが普通にやっていた。というか、そういうものだと思っていた。

そのうちに、5x7 と 2x7 を足せばいいな、などと、各人発見したりしていた。見えるから、可能なのだ。

この学校でどんぐりを初めて、1ヶ月半。 幼稚部と1年生が、ぐんぐん賢くなってきたのに対し、2年生と3年生は、その速度は遅い。

今日は、幼稚部で、30本のシシカバブを、毎日5本ずつ食べたら、何日かかるか、というお手本をボードでやっていたのだが、だんだん苦しくなるアンカラママを見て、「あと10本残っているから、2日かかるよね」などと、幼稚園児が話しているのが聞こえてくる。最初の、ポカーンとしていた受身の子たちの、目がきらきら輝き始め、わくわく感を共有する楽しみがたまらない。

アンカラでの前校の場合、創始者が幼稚園の先生だったこともあり、今の学校に比べると、宿題がずっと少なかった。それは、教材の、1ページあたりの問題数が少なかったことも大きい。

下校時刻が遅い私学で、低学年は、週末以外は、ほとんど宿題がなかった。最終校時にその日の復習をやってしまっていた。

今の学校は、低学年でも、宿題が多い。そして、買わせる教材が多い。しかも、一目みるだけで胸がむかつき、怒りがこみ上げてくるレベルである。

日本の計算ドリル真っ青の、数字が入れ替わっただけの、反復問題で、ぎっしり埋まっている。

過去の、宿題マシーン時代のいやな記憶がよみがえる。大人でも、電卓ナシでやれと強制されたら、十円ハゲのひとつもできるだろう。

自らの感情を押し殺し、マシーンに徹した年月。問題の意味なぞ吹っ飛ぶ。機械的に処理していくだけの時間。

あれを子供にやらせたら、あっという間に考えられないカチカチ頭の出来上がりだ。脳が発達するどころか、萎縮する。

ストレスのせいで。

まじめな親子ほど、つぶされてしまう。

先生は、掛け算の意味を授業で教えているだろう。しかし、あの反復教材で、イメージできない、考えられない頭になってしまう、とは知らない。

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1年生算数は深いんです

年配の、2年生の担任の先生と話しているアンカラママ。現在、アンカラママの授業に入ってくださる、貴重な先生方のうちの1人である。

先生「当分は1年生の算数をやるってことだけど・・今年は掛け算や割り算には入らないの?」

アンカラママ「先生、1年生の算数は深いんですよ。1年生では、足し算と引き算を習うでしょう?たとえば、2と4の二つの数字があるとします。2+4=6 と4-2=2 つまり、和は6で、差は2です。ところで、この、和は6で差は2、という文から、もとのふたつの数字に戻るのは、いつやるのか、ということです。1年生ではやらないですね。トルコの学習要綱では、5年生ですね。」

先生「そうよ、4年前までは、小5までが小学校だったから、あたしたちもクラスで教えていたわ。和の値から差の値を引いたものを、2で割る、という公式を使うのよ」先生、分数を使った公式を書く。

アンカラママ「5年の選択授業に来ている子達が、それを書いてましたが、意味が分かっている子は1人しかいませんでしたね。先生、その公式を知らなくても、ふたつの数字を見つけることは簡単なんです。大人に教えられなくても、それを知っている1年生もいます。100人に1人くらいですね。その子は英才児と言われます。まず、ふたつの数の図を書きます。同じ数でない限り、差の部分がありますから、図はこうなります。今回、差は2ですから、この部分は2です。あとは残りの数を分配するだけです。大きい数は4で、小さい数は2です。こうやって、もとの図と、文とを、自由に行き来するんです。英才児にとっては当たり前で、どうして周りの人が見えてないのか不思議に思うのです。」

先生「あ・・!本当だわ、知らなかった!これ、私のクラスでも教えてあげてよ。」

アンカラママ「先生のクラスは2年生ですから、ゆっくりやりますよ。この、英才児の常識を、クラスみんなの常識にするんです。思考の方法を変えるわけですから、すぐにはできません。子どもは本来こういう思考をするものなんですが、算数は学校で教えられるもの、と思っていて、力がなかなか出せない状態になってますから、うまく誘導して、解放してあげる必要があるんです。」

一生ものの宝

前校の、幼稚部から小2までどんぐりをしたクラスの先生と、電話でときどき話す。

「4年生になってからも、算数はハイレベルの授業ができるわ。どんなに複雑な問題でも、みんな絵を描けるのだもの。そういう時間が、楽しいのよ。絵を描けることは、たとえようもなく素晴らしいことね。本当に、あなたと過ごした期間は、私にとっても、子供たちにとっても、珠玉のような日々だった。この間に獲得した能力は、一生ものの宝よ。今年は、算数のテストは、全部、答えだけでなく、考えた過程を書いてもらうことにするわ。彼らの能力をより磨くために、正しい方向で評価しなくてはね。」

トルコでは、問題集を含め、テストは大半が4択問題。答えさえあっていればよい、という短絡的な指導が横行している。根拠は、高校入試、大学入試で要求される、問題を解くスピードに対応するため、という理屈である。

心ある先生方は、考える過程を書くことが大切なことはわかっているが、これを子供たちに要求するのは無理だ、と考えている。

どんぐりなら、それが可能なのだ。

この、幸せな先生によると、特別に個人指導が必要な子供は、26人のクラスでたった1人なのだという。

通常、小4は、算数がわからなくなりはじめる学年として知られている。

みんな満点、1年生
・・・から始まり、

雷落ちる、4年生
お客さんだよ、5年生

と続く。お客さんとは、授業に参加しているが、全く理解していない状態を指す。

小さな田舎の小学校のどんぐりマジック

1年前に、生徒数68人の、トルコの田舎の小学校の校長先生から、どんぐり導入の申し込みが来ました。
http://ankm.blog96.fc2.com/blog-entry-466.html#cm
先生は計5人の学校です。

校長先生から、うれしいお便りがとどきました。
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昨年どんぐり問題をお送りいただきました。子供たちそして私から、どれほど感謝しても、し足りないほどです。この1年の子供たちの変化を見て、とても幸せです。あなたのおかげで、子供たちは考えることを学びました。算数だけでなく、他の科目でも、理解力が200%アップしました。何度もあなたのブログを読みました。日本のhttp://allysdiary.blog.fc2.com/ のサイトも参考にさせていただきました。(アンカラママより 感謝です)小学2年の息子とも、週2回どんぐりをしています。そのことでも改めて御礼を申し上げます。このたび2MXと3MX問題をお送りいただきたく存じます。あと、三角視算表の実践について、アドバイスをお願いいたします。
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作品も送ってくださいました。
お絵かき帳が買えない貧しい環境なのに、学力は都会の私学に劣らないどころか、凌駕しているのです。

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楽しい算数

エスキシェヒルの新しい学校に来るとき、アンカラの前校の先生が口ぞえをしてくださったから、今回も科目名は「日本算数」になっている。

担任の先生方は、何か算数のテクでも教えてくれるのだろう、くらいの期待しかない。
最初の授業で、「今年から新しい科目が加わりました。この日本人の先生は、君たちに算数を解く為のテクニックを教えてくれます」と言って、そのまま出て行った先生もいる。

最初に気づいたのは、雑用で教室に残っていた年配の女性の先生だった。

アンカラママが、読み上げる文章題が面白いのだが、それを子供たちがどう描いているのか気になって見てみると、ほとんど間違っている。

アンカラママは、それを直す風でもなく、子供たちが得意げに説明するのを、一緒になって喜んでいる。

いったいこの人は、何をやっているのだろう・・・

「最初から全文を読んであげたほうが、うまく行くと思うけど」

「わざとやっているんですよ。この問題、大人には簡単そうに見えるけど、自力で考えたことのない子供には難しいものなんです。私が教えてしまったら、子供が考えなくなるでしょ。自力でいろいろ考えるように、仕向けてるんですよ」

はっとする先生。「そうか、今はなんでも既製を与えるだけだから・・」

「でも、間違えた子は、気づかないままじゃないかしら。」

「作品をあとで壁に貼りますからね。正解を出した子のものも目に入ります。だんだん分かってくるようになりますよ」

「子供たち、見るかしら」

「見ます。見る力がついてくるんです。数ヶ月したら、びっくりするほど子供が変わりますから。楽しみに待っててください」

「素晴らしいわ。あなたは子供たちに考えることを教えているのね」

普段の授業でも、自力で考えず、先生が教えてくれるのをただ受身で待っている子が多いのに、うんざりしていた先生。

この日本人が言っていることが本当なら、なんと楽しみなことだろう!

2週間もたつと、子供たちがどんぐりのことを「楽しい算数」と呼んでいる。

「次の授業はなに?」「楽しい算数だよ、やったーっ」

怒涛の生徒数

5年生の選択科目にどんぐりが採用され、20人が選択。

アンカラママの、今年のどんぐり生徒数は怒涛の380名。

職員室のテーブルに、数百冊のどんぐり帳が、山と積まれている。

さらに、週1日、半日の公立小学校ボランティアも予定している。こちらは学校の返事まち。

これが決まると、さらに80名程度増える予定。

高等部の生徒たち40人に、日本語も教えることに。

生徒、計500人。

アタマの限界を試されている。

今年度は下の子が高校入試だが、完全自力で準備中。

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プロフィール

アンカラママ

Author:アンカラママ
トルコ エスキシェヒル在住

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