イラク人少女サリーちゃん

ボランくんと同じ小4クラスにいる、イラク人少女サリーちゃん。11月に転入してきた。

黒目が美しい、賢そうな少女である。

サリーちゃんは、一番後ろの席に座っている。アゼルバイジャンに住んでいたことがあるらしく、トルコ語は、少しはわかる。
(アゼリー語はトルコ語に近い)しかし、学校での読み書きはアラビア語だったので、トルコ語アルファベットは、この秋から学習している。時々低学年の教室に行って、教わっているようだ。

サリーちゃんは、まだクラスの女の子たちと意思相通ができない。休み時間に、トルコ人少女たちが、バカ騒ぎをしていても、中に入っていけない。
授業中も、休み時間中も、よくアンカラママを見ている。

アンカラママが話しかけてみると、はにかんで、答えようとする。

「家族は誰がいるの?」「あ・・・」

エメル先生が助け舟を出す。「この子にはお母さんが3人いるそうよ。でも、2人はイラクに残って、トルコに来たのは1人だけですって」
イラクは4人まで妻帯が認められているが、トルコは世俗憲法が採用されているので、妻帯は1人まで。トルコでも財力があれば、宗教婚をして、2人目を持つ男もいるが、法律上は妻としての権利はない。

アンカラママ、つい興味本位の質問をしてしまう。「お母さんが3人?いっしょの家に暮らしてたんですかね」
エメル先生「ちょっと想像できないわよねえ。ま、トルコでもやってる人もいるけどね」

詳しい事情はわからないが、家族がばらばらになってしまったことは確かだ。サリーちゃんの生母が、イラクに残ってたとしたら、サリーちゃんはどんな気持ちだろう。

サリーちゃん「あなたは、ボランのお母さん?」
アンカラママ「違うわよ、つきそいをしているの。私は日本人よ」

ボランくんが、つききりで教えてもらっているのが、うらやましかったのかもしれない。

普段の授業中、彼女は何もしないで座っているだけなので、休み時間に、紙に簡単な計算を書いて渡してみた。

「これ、わかる?」

彼女の美しい目が、きらりと光る。

「家で、お父さんに習ってる・・」

アラビア語表記は、インド数字を使う。世界共通のアラビア数字ではない。似ている字が、違う数字なので、慣れるまではやっかいそうだ。

簡単な筆算の書き方を教えてあげる。指計算をして、書いてみる。

エメル先生に見せると、うれしそうに「彼女は分かる子みたいねえ。パソコンから計算問題を出してあげるわね」

30題の筆算プリントを出してきた。アンカラママ(これかい・・・)

授業中に、ボードで問題が解けないトルコ人生徒に、エメル先生の雷が落ちると、

アンカラママとサリーちゃんは、こっそり目配せする。

彼女もアンカラママも、異邦人。

彼女は子供なので、あと3ヶ月もすれば、周囲になじんで来るだろう。

そうすれば、こちらばかり見てくることはなくなるかもしれない。


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Author:アンカラママ
トルコ エスキシェヒル在住

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