ボランくんは、アンカラママと一緒に歌を歌ったり、踊ったり、公園で遊んだり、最初の2週間は、手を握るだけ許すものの、それ以外の接触を許さなかったのに、今では抱きついてきたり、キスしてきたり、すっかり心を許している。
アンカラママのことを聞いてくるのは、これからどこにいくの、アンカラママは一緒に来るのか、という質問に決まっているのだが、実際は「ネレエ(どこに)」という発語のあと、アンカラママの頭を触る、という動作が加わる。
全く絵を描かなかったのが、毎日の働きかけで、すこしずつ、絵らしいものを描き始めた。
なにしろこの子は大量のワークで「多いのはどちらでしょう。チェックをつけなさい」みたいなのばかりやってきたから、チェック印の+と○は得意なのである。
そこで、++++++ばかり使って、たとえば雨が描ける、という体験をさせてあげた。画用紙いっぱいに、寒色系のクレヨンで+++をいっぱい描いたボランくん。アンカラママは、雨の日に一緒に歩いたことを話し、いろんな感情を添えてやるのだが、彼の心の中に変化はあるのだろうか。最近は、クレヨンを持って来て、描こう、と誘ってくるようになった。
ボランくんは、2週間前から、ドクターの指示で、新しい薬を飲むことになった。抗鬱剤だそうだ。
勉強させようとしても、すぐにあきて、忍耐力がないので、自分に自信を持たせる効果を狙っているとのこと。
日本の自閉症サイトを読むと、抗鬱剤は、ハイの状態もコントロールしやすくなる、との説明があったが、2日くらい前から、ボランくんがとても行動的になり、すれ違う人みんなに手を出し、目に入るもの全てを触りにいく衝動が強くなった。
学校からの帰り道でも、店や家のベルを鳴らそうとしたり、ドアを開けようとしたり、叩いたりする。駐車してある車をのドアを開けようとする。本当は自然の中を歩ければ、こんな気を使う必要がないのだが、毎日歩いて下校してくれ、とはお母さんの希望なので、一時も目を離せない。アンカラママはボランくんが手を出すタイミングがわかってきているので、一瞬の介助で制止するのだが、年齢の割には体格がいいボランくんは力が強く、こちらも疲労を感じる。
用事があって、文房具屋に連れて入ったのがいけなかった。色の刺激で、すっかり興奮状態になってしまった。
*********
5時に仕事が終わり、帰宅するアンカラママ。
気を抜いて考えことをしていたのが悪かった。
近所の薄暗い階段を踏み外し、つんのめった。腰と肩を打ちながら、下の濡れた芝生まで転がる。
近所の人が駆けつけてくれ、家まで知らせに行ってくれた。
10年ぶりの足首捻挫である。
仕方ない、しばらく休養するか。
早く学校行きたいな~
スポンサーサイト