私にもこんな子供がいるんです

今日はボランくんを療育に連れて行く日。

朝、バスに乗ると、「ここに座らせなさい」と手招きする婦人がいる。

「あなた、ウズベキスタンの人?」
「いえ、日本人です」
「日本人?まあ、日本なの、日本はいいところだって言うわね・・」
中央アジアの言葉はトルコ系だが、外国人であるアンカラママにはわかりずらい。
カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、トルクメニスタンの人たちは、トルコにもかなり住んでいる。日本人と顔立ちが似ている人もいて、ときどき同郷人と間違えられて、声をかけられる。
「あなた、トルコ語がお上手ねえ・・この子はあなたの子?」
「いえ、私はつきそいをしてるんです。学校で講師をしてたんですが、学校に何人かこういう子たちがいて、ほったらかしにされていて、私も何もしてあげることができなかったので、少し経験をつみたいと思って。先生の中にも、なんとかしてあげたい、と思っている方もおられるんですが、みんな知識がなくて」
「そうなのよ・・学校の先生は何も知らないし、何もしてくれないわよ・・私にもこんな娘がいるのよ。ぱっと見るだけじゃ、普通の子よ。でも、勉強は全くできないの。座っているだけよ。14歳で、高校の支援クラスにいるけど、高卒の学歴がほしいから行かせてるだけね」
ご主人は既に定年なので、家にいるそうで、お母さんは住み込みの家政婦の仕事をしているのだという。

ああ・・みんながんばってるんだ。

帰りのバス。扉まで乗客をぎゅうぎゅう乗せたまま停留所にきた。
何人か降りる客がいたので、苦しいのだが乗せてもらう。
ボランくんは乗り物が好きで、バスにのるとおとなしくしている。
運転手がサイドミラーを見る邪魔になってはいけないと思い、ボランくんを支えて後ろに下がろうとすると、運転手が
「ラクにしてあげなさい。大丈夫だから。」と声をかけてくれる。

ときどき横目でボランくんを見ていた運転手が、
「僕にもこんな息子がいるんだよ。ADHD(注意欠陥・多動性障害)なんだ」と話しかけてくる。
「君の子はおとなしいね。僕の子は、バスの中でじっとなんかできないよ」
「この子は自閉症なんです。バスが好きなんで、バスの中ではご機嫌ですよ」
サングラスをかけた運転手は、にっこりした。

アンカラママはほほえんだ。発達障害の子の親だけが、直接かかわっている者だけがわかる親近感、苦労、仲間意識。
普段は、他人に手を出さないように、気をつかい、緊張し、見張らなければならない。
偏見や疎外感を感じることもある。
他人に無邪気に手を出すボランくん、手に力が入っているときは、つねってしまう。
子供に寛容なトルコ人でも、驚いて逃げるひともいる。

驚かない人もいる。そういう人は、たいてい、周囲に発達障害の子供がいて、存在に慣れている。
じろじろ見るのは失礼、と目をそらしたり、見て見ぬふりをする必要はない。
愛情を込めて、見つめ、質問してくる。
子供を見るその目は、限りなくやさしい。
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Author:アンカラママ
トルコ エスキシェヒル在住

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