見えることは幸せ?

重度自閉症のボランくんは、「おりこうさん」でおとなしく座ってるこどもだった。

すぐに、意識が落ち込み、ボーっとしている時間が長いのだった。

周りは、そのときボランくんは賢く授業を聞いているのだと誤解していた。

他人があいさつしても、返事はおろか、何の反応もなかった。

アンカラママが来てから、ボランくんは周りが見え始めたように思う。

最初は、本の写真・絵の指差しは、わずかに6種類しかなかった。(乗り物と公園の遊具)

それが、今ではほぼ全ての写真を指差して、聞いてくるようになった。

いろんな人物に興味を持ったり、お店など、最近見たものと関連あるものを思い出し、そのときの状況を代わりに言ってやると、満足する。

公園で、知らない人がいても、相手をしてもらいたくて、コンタクトをとろうとする。話しかけてくれたおじさんのひざに、甘えて頭を置いてみたり。小さな女の子が、手をつないでくれたのがよほどうれしかったのだろう、翌日、同じ公園でその子の姿が見えないと、何度も何度も探し、悲しそうに「ナー」と嘆いた。

いろんな大人が、「ボラン、変わったねえ!」と驚いた。

しかし、それは、ボランくんが午前中を過ごしている学校と言う場所、教室という場所が見えてしまうことだった。

昨日、クラスでも小柄でおとなしい子供が、宿題を全部やってこなかったのを先生に叱り飛ばされたのに耐えかねて、とうとう自分の算数のノートを真っ二つに引き裂き、床に投げた。その子はそのまま家に逃げ帰ろうとした。

そのとき、アンカラママはボランくんをトイレに連れて行っていたが、教室に入ろうとしたら、修羅場の声が聞こえてきて、たちまち回れ右をして、ボランくんを校内散歩に連れ出したのだった。

中で何が起こっていたのかというと、先生の言葉を借りると、「戦争」が起こっていたとのことだった。

ボランくん、あなたが勇気を持って出てこようとしている世界は、こんなにもつらく、うるさく、居心地が悪い。



ボランくんは、今日は学校に着いて先生の授業が始まったとたん、「帰りたい」とジェスチャーで伝えてきた。

ジャンパーをかけてある場所を指差して、訴えてくる。

ボランくん、私はあなたのお母さんじゃないんだ・・・午前中は帰られないんだ・・・

「あんたは私をバカにしてるの?宿題をしてこなくて済むと思ってんの?前で立ってなさい!!」先生の叫び声が聞こえてくる。

悲しそうに罰を受けるこども。

何度も何度もジェスチャーするボランくん。だんだん怒りが高まってきた。

あと10分でチャイムが鳴るけど、持ちそうにないな・・と思ったとたん、ボランくんがアンカラママの腕に激しく噛み付いた。

***********************

何も見えず、何もわからず、自分の世界にいるほうが、この子にとっては幸せなんだろうか。

つい2ヶ月前に、「抗うつ剤」が処方されたのに、今度は学校に「適応」するために、鎮静剤を飲まされる日が来るんだろうか。

アンカラママは、担任の先生に、どんぐりのこと、宿題のことは、最後の日(5月末)に伝えるつもり。

今は、ボランくんを「善意でクラスに受け入れてもらっている」立場上、何も言えない。

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Author:アンカラママ
トルコ エスキシェヒル在住

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