A君家で出張どんぐり

子供たちが学校帰りにスペイン人ママの家に行ったので、夜まで時間ができたアンカラママ。

お母さんがどんぐりをさせているA君の家に行って、一日出張どんぐりをすることにした。

以前から、頼まれていたのである。

A君ママ「せっかくI君のママが、あんただけのために来てくれたんだから。わからないところは全部聞くのよ。しっかり聞くのよ!」

アンカラママ「わたしゃA君には何も教えませんよ。教える対象はお母さん、あなたです」

最初に、A君とどんぐりを一問やった。
             
<2MX32>クジラのマッコウ君の御飯はプランクトンです。赤いプランクトンと青いプランクトンは合計で1200匹います。赤いプランクトンは青いプランクトンの5倍だとすると、赤いプランクトンと青いプランクトンは、それぞれ何匹いるでしょう。

A君は、100・・500
     200・・1000 比で、該当数を見つけた。

5倍の絵図がなかったので、どうやって表現したらいいか、一緒に考えた。

A君が問題に取り組んでいる間、アンカラママは、クジラのマッコーザットー問題をやる。

A君ママ「もう一問、見てもらいなさいよ。」
アンカラママ「一日一問でいいんです」 
A君ママ「先週やった問題を見てくれた?筋肉問題、完全に間違ってたから、やり直しさせたの」
アンカラママ「お母さん、また教えましたね。どんぐりは正解を求める問題ではないんです。間違っていたら、1年でも寝かしておくんです。いいですか」

沢山勉強するのは、いいこと。わからないところを放っておくのは、悪いこと。この「常識」を覆すのは、何と難しいことか。
このお母さんには、もう10回以上説明しているのに、どんぐりのルールを、守る気がないのだ。
どうしても理由が実感できないから、アンカラママが何度言っても、自動的に頭がスルーしてしまうらしい。

具象思考と抽象思考とか、脳の発達とか、理論を説明するより、何とかして実感してもらうしかない。
                
<2MX78>ダンゴ虫のお母さんが、996円で子ダンゴ虫6匹に、同じお菓子を2個ずつ買ってあげようと思っています。お釣が出ないように買うとすると、1個何円のお菓子を買えばいいのでしょう。

「これはうちのIが先日やった問題です。ここで、996÷6の計算をするのに、学校でまだこんな計算は習っていません。お母さん、あなたなら、割り算を使わずに、どうやって解きますか。ちょっと考えてみてください」

A君ママ「え・・割り算を使わずに?」

アンカラママ「これは小2問題ですから、小2の学力で解けるんです」

A君ママ「さっぱりわからない」

アンカラママ「では、これは一つの例ですが、Iがどうやって解いたか見てください」
アンカラママ、お金で絵図計算しているノートを見せ、紙に再現して説明する。

A君のお母さん「すごい・・こんなこと、私は思いつきもしないわ。こんなこと、うちのAはできやしない」

アンカラママ「この時期に、大切なことは、算数のテスト対策ではなく、思考力を伸ばすことです。そのためには、親が理論を知る必要があります。思考にはイメージのコピー、移動、変形、比較、といろいろな種類があるのですが、ここではイメージを変形する、という手段を使っています。A君はまだどんぐり3ヶ月だけど、あせらなければできますよ。今日だって、A君は、1:5の比で考えていて、6で割る、という発想ではないけど、結果的に1200÷6の計算を自分でやっているじゃありませんか。学校では、一桁の割り算を2回ほど授業でやっただけなのにですよ」

そこへ、A君のお父さんが、お仕事から帰ってくる。

A君ママ「あなた。ここに座って。この問題を、割り算を使わずにやってみて頂戴」
A君パパ「何だって?どうして割り算を使ったらだめなんだ?」
A君ママ「これは2年生の問題よ。2年生は、こんな割り算のやりかた知らないんだから。I君は、割り算を知らなくても、解いたのよ」

数学が得意な理系のA君パパ「いや、そんな風にじっと見られたら、やりにくいなあ、ハハッ」
A君パパ、ダンゴ虫を○にして、6つ描く。「お菓子2こずつだから、996円を12等分するということだな」
10ずつ分配してみる。「こうするしか思いつかないぞ。これをどうやって12個に・・・割り算を使わずに・・」
A君ママ「あなたのやり方は面倒ね。I君のやり方の方が、ずっとスマートだわ」
A君パパ「おや、うまくいかないぞ。・・解けないかもしれん」

アンカラママ「お父さん、とってもいいですよ。どんぐりは正解を出さなくてもいいんです」
A君パパ「オレは、こんなこと、とても毎日やってられないぞ」
アンカラママ「そうなんですよ。だから、週1問か2問で十分なんです。どうですか、どんな風に感じましたか。とても頭を使うでしょ?自分のアイデアを要求されるでしょ?これを、子供がやるんですよ。そのとき、沢山の思考回路ができるんです。最初にやり方を教えられて、定着のために数をこなすのではなく、不正解を恐れず、自分でどんどん試してみるんです。そのために、普通よりもレベルの高い問題が入ってます。解き方を覚えるためではないんです。ここで、正解を要求されたら、子供も萎縮してしまいます」

「親が最短のやり方を教えてしまえば、子供はもうこんなことやらないでしょう。せっかく思考回路を増やすチャンスなのを、もったいないことです。問題自体、取り組むうちに、いろんなの算数の発見ができるように、仕組んであります。ですから、できるだけ、子供が親に頼らず、自分で取り組めるように、不正解のときも、親が教えることはしないんです」

「これは、私がさっきからやったほかの問題です。これをA君に説明する必要はありません。でも、A君は、私が楽しんで試行錯誤しながら、丁寧に時間をかけて解いたのを見たのです。ほら、ここにもここにも×があります。これが、文章題に取り組む時の、やりかたのお手本になります。お父さんとお母さんに、ときどきお願いしたいのは、このことなんです」

A君パパ「こんな教育方法は、聞いたことがないな・・全く新しいんじゃないか」
アンカラママ「さあ、個人的にやっていた人がいなかったとは言えませんが、いろんな角度から有効性を実証して、システムを確立しているのはどんぐり倶楽部だけと思います」

ご両親とも高学歴で、どんぐりの問題も何の苦もなく解いてしまう人たち相手に、素人のアンカラママが説得を試みる。

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Author:アンカラママ
トルコ エスキシェヒル在住

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